「さくらほりきり」の目指す道③クラフトキットを通して手作りの持つ付加価値を広めていきたい
自分でモノを作ることのハードルは意外と高い
前回の記事で創業時の価値観の話をしましたが、更に世の中で大きく変わっている価値観として、「自分で作る」という事の変化があります。
現代は日々、魅力的なおしゃれグッズ、便利グッズが開発され、簡単に手に入れられる時代になっていますが、昔は「こういうモノが欲しい」と思ったら自分で作らなければならない時代であったため、「自分で作る」という事は生活する上での必須スキルとされていたようです。
しかしながら現代は、50年前と比べても「自分で作る」必要性も無くなってきており、「作る」体験自体が減ってきています。現代は「自分は不器用だから自分には作れない」と考えている方が非常に多く、手づくりに対するハードルがものすごく高くなっています。
確かにそういう気持ちもよく分かります、誰だって失敗したくないですから。仮に挑戦してみようと意を決して挑戦してみたはいいが、いざ作り始めてみたら、作り方が理解できなかったり、知識や器用さが求められたりと、上手く作れなくて挫折した経験があるという方はとても多いようです。
せっかく初心者用と書かれているキットを購入して挑戦してみたのに、失敗して自信を失う上に、材料も無駄にしてしまう事になりかねないので、自分には向いていないと学習機能が働いて避けてしまう悪循環になっているかたが多いようです。
ただそれは、せっかく買って頂いたのに、お客様がきちんと完成させることが出来ない、いわば「未完成な商品」を販売している「メーカーが悪い!」と声を大にして言いたいです。なんでそんな商品を平気で売ろうとしているのか、全く理解が出来ません。そのような未完成な商品を売ることで目先の売上は作れるのかもしれませんが、結果的に自分は不器用だから手作りは向いていないんだと、自信を無くしてしまう人を増やしているだけで、手作りのマーケットを自ら狭めていることに気が付かないのだろうか?と憤りを感じてしまいます。
業界あるあるなのだと思いますが、手先が器用で作り方を理解している人たちが作ったキットは、作れない理由が理解できない事が多々あるんです。作り方が分かっている人にとっては当たり前のことで、作る人も分かっている前提で説明されている事が多いので、出来ない人は何に躓いてしまうのかも分かっていないのです。
もともと、手芸業界自体が自分で作れる人を対象に商売をしてきていると思うので、仕方のない事なのかもしれませんが、例えそうであったとしても、作りづらい商品を販売したことで、結果としては自信を無くしてしまう人を増やしてしまう事に繋がってしまっているのが現実だと思うので、そうならないように「手作りすると楽しい」と思ってもらえるように、より多くの方に手作りすることの楽しさを体験してもらうためにどうするべきかを、しっかりと考えて取り組んでいって欲しいと思います。
手づくりの持つ「付加価値」を考える
自分でもこんなに凄い作品が作れた!という感動があってこそ、もっと作ってみたいという次の行動に繋がると思うので、当社はまずは、そういう一つ一つの成功体験を積み重ねていっていただけるように商品開発に取り組んでいくべきだと考えています。
当社も創業時から「手芸」を意識していたわけではないのだと思いますが、「手づくり」することが「手芸業界」に当てはめられていったのだと思います。そのまま意識せずに「作るよろこび」を提供しようと、「誰でも簡単に」を意識して開発してきた結果、いつの間にかデイサービスやリハビリの現場でも使用していただけるようになってきました。
それは、我々が営業して広めたのではなく、いつの間にか広まっていき、ある時に「そういえば最近、デイサービスからの注文が増えているのではないか?」と気づくような感じでした。特に意識していたわけではありませんでしたが、手先を動かすことや、作りやすく完成して達成感を得られるという事が評価され、作業療法士の方たちの繋がりで広がっていったようでした。
その気づきを機に、改めて「手づくり」の持つ付加価値にはどういう物があるのかを考えたり、当社だからこそ提供できる付加価値は何なのか?これからの超高齢者社会における社会課題に対して、世の中がデジタル化の流れは避けては通れないけれども、そういう時代だからこそ、よりリアルな手づくりというアナログの持つ価値もますます求められる時代になっていくはずであると確信しています。
ただその為には、世の中の人にきちんとアナログの手作り自体の付加価値を伝えていかなければならないし、我々が社会課題に対して貢献できていること、評価していただいていることもきちんと発信していかなければならないと改めて感じました。
noteでの付加価値情報を発信
当社の強みの1つとして、たくさんの種類のキットを開発しているというだけでなく、どの商品にも分かりやすい専用説明書を作っているのは勿論のこと、数多くの部材を手配し、必要な部材を揃え、不足が無いようにセット・検品し、お客様に完成して喜んでいただけるような商品群を作るのは勿論のこと、それらをすぐに提供できる生産体制を敷いているという事です。
それらは当社の協力会社さんやメーカーさんの多くの職人さんの支えによって成り立っていますが、職人さんや経営者の高齢化問題も当然起こっており、また近年の物価高によって、経営的にも苦しくなっている会社も沢山あります。我々とすれば、協力会社さんあっての当社「キット」販売の仕組みがあるので、共存共栄を目指して取り組んでいきます。
そのためには、目には見えない商品の付加価値もきちんと説明した上でご理解いただき、多くの方の共感を頂きながら、付加価値を認めていただけるようにさくらほりきりの取り組みを応援していただける方をもっともっと増やしていかなければならないと考えています。
今後、noteを通して、社内の各部署から、リアルな情報を沢山お届けしていきたいと考えております。直販をしているので、お客様の声が直に入ってきたり、日々感謝のお手紙もいただいております。また、色々な施設や地域のイベントなどでもご利用いただき、大きな評価もいただいておりますので、そういう情報も知っていただきたいです。
ぜひとも、さくらほりきりのファンとなっていただき、手づくりの持つ付加価値を実感していただきながら、「作るよろこび」を通し、多くの感動をお届けできるように取り組んでまいりますので、これからもよろしくお願いいたします。