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手作りをして復興支援 あらゆる立場の方が参加できる取り組み

こんにちは。
さくらほりきり販促チームの末永です。さくらほりきりは「誰でも簡単に完成度の高い作品が作れる」クラフトキットを企画開発しています。手作りを通して得られる「作るよろこび」をより多くの方へお届けしていくべく、クラフトキットの魅力をお客さまへお伝えしようと日々奮闘しています。

今年もあっという間に2か月を切りました。2024年いろいろなことがありましたが、やはり忘れられないのは1月1日。山口の実家で母とお正月番組を見ていた時に、突然ニュースに切り替わり石川県能登半島で地震が起こったことを知りました。
元日から大変なことが起こってしまった、と思ったあの日からもうすぐ1年が経とうとしています。
これまで、地域的な人手不足や地理的なことからくる復興の遅れなどを報道で知りました。また9月には豪雨によるさらなる災害が。

まだまだ復興は半ばと伺います。反面、東京などで見ることができる報道は随分減ったようにも思います。
そんな今年、さくらほりきりとお客さまとの間で起こったお話を今回お届けしたいと思います。


きっかけは新人社員の企画

震災から1か月ほど経った頃、新たな商品の企画を検討する会議に、商品企画の責任者とともに、昨年4月入社の新人社員が企画を持ってきました。
その内容は「石川県の観光PRキャラクターのひゃくまんさんを商品にして、その一部を寄付する企画ができないか」ということ。

高校生の時に石川県を旅行して「ひゃくまんさん」の大ファンとなり、また今度は能登に旅行を計画していた矢先の震災で、何かできることをしたいという想いから考えたとのことでした。
「うちのお客さまは皆さん優しいし、きっと協力してくれると思うんです」と。

石川県の「加賀八万起上り」をモチーフにした石川県観光PRマスコットキャラクターです

とても素敵な考えだとは思いましたが、正直キャラクターの商品化は普段の企画よりも手間がかかること、また「お客さまが優しいから」って、それは商売として発売をしていくことの根拠になるのか…?というのが、個人的な感想でした。

でも、いつもご注文の際に「今度○○のお祝いがあるから」「○○のお礼」「○○のご挨拶」にと贈り物のために作るお客さまが多いこと、また「作って飾ってると素敵ね!って言われて、ついあげちゃうから作っても作っても家には作品が残っていないのよ」というお話を本当によく聞くことを改めて思い出しました。

入社1年に満たない彼女の「お客さま皆さん優しい」は、そのお客さま方のいつも「誰かのために」作っているという本質を素直に表しているように思えました。

ひとまずキャラクターなので、版権をもつ相手がいる。商品化が可能かどうかを調べてみようということとなりました。
企画から商品化までを行った経験がまだまだ少ない彼女が、問い合わせをし、審査のために資料を作り、試作をし、と一つひとつ先輩の手を借りながら進めていきました。
キャラクターのデザインはあるものの、雰囲気を損ねず、さくらほりきりの商品として作りやすいもの、作っていて楽しいものはどういうものかを考え試作をしていました。

そして出来上がったのが、「押絵ストラップ手作りキット ひゃくまんさんver.」
ひとつ20分程度で作れる手軽さがありながら、ひゃくまんさんのお洒落な可愛さに、加賀百万石をイメージした金色の鈴とストラップというように、小さいながら様々な工夫がつまった商品となりました。
そして商品1個につき、300円の寄付ということが決まりました。商品の売上から寄付をするという弊社でも初めての試みが、新人社員の企画から生まれたのでした。

型抜きされたパーツ、布、鈴、ストラップ紐に詳しい説明書が付いたキット

高齢のお客さまからの反響「人のためなら元気でいられる」

4月に発売し、まず毎月のようにご利用いただくお得意様から大きな反応をいただきました。ひとりで10、20、30組とお買い上げいただいた方々に、どのように使われるのかお伺いしたところ、お友だちとの手作りの会で作るという方や、地域で押絵教室をやっていて生徒さんに差し上げる方など様々。「行先は決まってないけど、作ってこれから会う人に差し上げようと思っている」という方も。

そして皆さま「震災の状況を見て、私も何かをしたかった。身体ではお手伝いできないから、少しでも助けられたら」、「個人ではどうしたらいいのか。でも何かできないかと思っていた時に、私に出来る事を教えてくれたと感謝しています」といったお話を聞かせてくださいました。

キット1セットで2個作れます。一人で数十個作られる方も。

「素敵な企画ね。こういうのは大賛成よ」と開口一番言われたお客さまは、若いころから地域のための活動をしてきたそう。高齢になっても、周りの高齢者が孤立しないように集まって手作りを定期的に行っている中で、「好きなことをやるだけでなく、人のためならもっと元気でいられる」ということを今回感じたそう。

「誰でも簡単に完成度の高い作品ができる」ということをコンセプトにしている弊社のキット。これは、年を重ねて機能的にできないことが増えても、「できた」という喜びを感じてほしいという意味があります。さらに、できないことが増えるということは必然的に周囲に助けてもらうことが増えるということ。そんな中で、「誰かの役に立つ」ということが、とても価値あることなのだということをお話を伺う中で改めて気付かされました。

訪日外国人観光客からの反響「日本の最高の思い出に」

東京浅草橋にある本店には、コロナ禍が落ち着いてから徐々に海外からのお客さまの来店が増えていきました。その方々からも反響が。
10名でシンガポールから来日された「シンガポール日本文化協会」の皆さま。シンガポールで、月に一度ものづくりを行い、年1回のジャパンフェスティバルで作品の販売を行っているそう。そして和紙をはじめとしたお買い物を楽しむ中で、「押絵ストラップ手作りキットひゃくまんさんver.」についての話を聞き「それはぜひ協力させてほしい!」とのことで急遽、店内で製作体験を行いました。
作る中で、日本への想いや手作りへの熱意を伺うこともでき、とても素敵な時間となりました。

シンガポール日本文化協会の皆さま

異国の顔も知らない方への想いを込めて手作りをする。それが「日本の最高の思い出となった」というお話を伺い、本当にこの商品があって良かったと感じました。

高齢者施設からの反響「意欲的な参加に繋がった」

発売から数か月経ち、少しずつ増えてきたのは介護施設のお客さまからのご注文でした。施設のレクや行事として、大勢で作るためにご注文いただきました。
一部が義援金となることを説明したうえで、参加を募るといつもよりも参加率も良く、意欲的に参加をしてくれるというお話を多くいただきました。

広島県のデイサービス「SOMPOケア ハッピーデイズ平和公園」の皆さまは、約30名で作られた時のお写真と、参加したご利用者さまの声を送ってくださいました。
「ひゃくまんさん、とてもかわいいね。そしてめずらしい。
義援金が付いているのがありがたい。微々たるものだけどよかったです。」「難なく作れました。一生懸命やりましたよ。」

真剣に作られている様子が伝わります

職員の方からは、こんなお話が。

おひとり1セットを作って、1時間ほどで出来ました。とても可愛いねと人気でしたし、細かい作業がなかったので、作りやすかったようです。ある男性の利用者さんからは「ひゃくまんさんがとても気に入った。ちょうど妻の命日なので仏壇に飾ろうと思う。それに石川県の方に親戚もいるので、想いを込めて作りました」という良いお話が聞けました。
なかなか寄付したくても出かけられなかったり、どうしたらいいかわからなかったから、と皆さん快く参加いただき素敵な企画になりました。

SOMPOケア ハッピーデイズ平和公園 能見様


完成した喜びが伝わってくる笑顔です

また、神奈川県にある介護付有料老人ホーム「サニーステージ大和」の皆さまからは、お写真とお手紙が届きました。

施設の手芸クラブでひゃくまんさんのストラップを作成しました。その前は和紙のかんたんクイリングネックレスも作り、身に付けて鏡を見てお互い褒め合い賑やかに過ごしました。
今回は、復興支援もできるとのことでいつもは手芸クラブに参加されない方もご参加くださいました。
今度100歳を迎えられる入居者さまに差し上げたくて作られた方もおられました。
かわいいひゃくまんさんをイラストにしてくださった方もいらっしゃいました。

サニーステージ大和 山下様

書いていただいたイラストも一緒にお送りいただきました。どこか味があって、温かみがあって、昔おばあちゃんと一緒にしたお絵かきなんかを思い出して、とっても心癒されました!

カラフルで味のあるイラストに皆さまで署名をしたはがきをいただきました

クラフトキットで復興支援をする意義

他にもこれまで200を超える高齢者施設や団体の皆さまに、ご注文いただいています。
「復興支援」と身構えることなく、高齢者やお子さま、海外の方などいろいろな立場の方に手作りを楽しんでもらえるだけでもありがたいし、商品としてたくさん売れることはもちろん嬉しいことですが、何よりもこれまで以上に熱を帯びた喜びの声、反響をいただいていることが新たな気付きとなっています。

それは先に書いた通り、高齢者をはじめとした皆さまが「誰かのために」という想いを持たれ、それを実現することに強い喜びを感じているということ。
弊社のクラフトキットが、その想いの実現に役立つことを実感し、また高齢者の皆さま(お客さまには障がい者福祉施設もありました)が、そうやって主体者として社会に関わるお手伝いができるということです。

そうした弊社のキットの新たな可能性を教えていただいた皆さまに感謝しつつ、今後も企画開発に取り組んでいきたいと思います。

なお、現在「押絵ストラップ手作りキット ひゃくまんさんver.」の半期の売上を元に、寄付の手続きを行っているところです。また報告をしていきますが、復興はまだ途中。このキットを通じた取り組みは、今後も続けてまいります。